ルーペと鳥瞰図

日記と作り話のようなもの。

スイスイ

自分の左後ろから声が聞こえたので見上げると、スイカが3つ入りそうな大きなお腹がその人の顔を半分くらい隠していて、その大きなお腹は突然、目の前のプールに飛び込んで、私はたくさんの水飛沫を浴びた。この国では、プールで飛び込み禁止の規則はないみ…

映画『バービー』を見てきた

私は幼い頃にバビーを一体持っていたか、それがリカちゃんだったかどうかも分からないくらい、バビーを知らない。ただ、この映画に関しては、なんとなく惹かれて、底抜けに明るいポスターを見て、日常から解放されたくて、このあと書くようなモチベーション…

誰にも言えない、誰も聞いてくれない

誰にも言えないことは、 誰かに言いたくなるのに、 誰かにジャッジされるのが怖くて、 結局誰にも言えないで終わる。 誰にも相談できないし、 自分で考えをぐるぐる回して、 最後に同じところに戻ってくる。 なぜ誰にも相談できないのかというと、社会的にタ…

冷めた視線で俯瞰する

彼は何にでも冷めている。高校の同級生でとても仲が良く、ただ日々連絡を取るような間柄でもないが、ふとした日常の会話から広がる話題が豊富で日々新聞などでも読んでいない限り、出てこないような情報を引き出しから出してくるといった感じで話してくれる…

わがままな人

20代前半に精神的に参っていた私から、年齢とともに楽観的になったのはとってもよかった。生きやすい。あの頃、「若いんだから」とよく言われてすごく腹が立っていたのを思いだす。生きている今は人生の中で一番歳をとっているんだから、年上のしかも定年間…

スーパー

ポテチが無性に食べたくなって、スーパーに行ってきた。暑い夏の午後で、近くのスーパーは混んでもいないし人がいないわけでもなかった。普段の買い物は、品揃えも良くて特に野菜が安いという理由で、少し遠くにあるスーパーを利用するけれど、小腹が空いた…

レールから外れる

何かになれると思っていたけど、私は私のままずっといるだけだったし、これからもそうだと思う。 一時帰国している間に会った友人は、日本で病みに病んで、それからいろんなことを経て、移住して10年が経つ。そのずっと前になるが、彼女は、鶏ガラみたいに痩…

不機嫌の椅子

「出会えてよかったね」 「よかったね」 こちらには白ワインのグラス、向こうにはビールのジョッキが残るテーブルを挟んで私たちは座っていた。4日間の旅の最終日、泊まっているホテルから40分のメトロとバスを乗り継いで、20分炎天下の中辿り着いた、保護地…

蟹味噌

夏休みに入った。入ってから2週間が過ぎた。 今年2月3月は空っぽで、何をやるにも気持ちが入らず、それでも、ワークショップを開催したり、最終原稿を出したり、学会発表の応募をしてアクセプトされ個人発表をまとめ、その後で学年末の書類をまとめたり、フ…

気分転換

気分転換がこんなに下手だと思っていなかった。 博士課程に入って、学会などの個人発表や論文掲載などにエントリーすることが多くなった。エントリーするまでにこれでもかと考えに考えてまとめて出したレジュメや論文が、専門分野の研究者によって精査され、…

夏時間

フランスでは先週の日曜日に夏時間に入り、1時間進ませた。 月曜が始まり、朝起きた時にどうしてもふわふわした気分でどうにも落ち着かず、それでも、朝からビザ関係の手続きの準備を始めていた。急に胸の中心に圧迫感を感じ、何か痛いような苦しいような感…

日常への帰還

パリに戻った。パンデミックな世界で5ヶ月のフィールドワークを終えて、灰色の空と冷たい空気のパリに戻ってきた。すでに生活の基盤を外国に移して8年以上がたったのに、いつも母と別れるときは遣る瀬無い気持ちになる。これは、両親が私の幼い頃に離婚して…

カテゴリーからの解放とその失敗

朝、ケータイのアラームで目を覚まし、そのままSNSのアプリ画面を開いて20分くらい眺めるのが癖になっている。感染症の影響で、通勤は週に一回になり移動の時間がいらなくなってから習慣になった。今朝は、SNSではなくてメッセージアプリの30件余の通知が気…

パリの街角で見かけるグラフィティ

パリの街を歩いていると、様々なストリートアートやグラフィティを目にする。 日本で見かけた(今もある?)ような「夜露四苦」といったものは、メトロのトンネルやトラックの側面に描かれているのを見かけるが、一味違った可愛らしいと思ってしまうようなも…

Day 44

フランスでは、5月11日に段階的に外出制限措置が解除されていくことになった。首相から政府の計画が提出され、下院で採決されるまで3時間くらい。議論されたが、やはり中央集権国家で与党が過半数を持っていると強いのか。間接民主制でも同じことなのか。と…

オンラインのリミット

オンライン飲み会というのを初めてやった。誘われるたびに断っていたのだが、誘われたのが違う国に住む友達ということもあり、久しぶりに顔を見て話そうという思いもあり、参加した。 オンラインでは、飲み会のみならず会議などもそうだけど、物理的に会って…

沈黙

久しぶりに村上春樹の『レキシントンの幽霊』を読み返している。 (ここからネタバレです) その中の「沈黙」を読んでいると、なんと示唆に富んだストーリーなんだと気づく。 長年ボクシングジムに通っている大沢が、人は殴ったことはあるかと聞かれ話し始め…

Day 30

2日前の20時すぎ、近所のみんなで医療従事者に拍手が終わろうかとしている時、フランス国家のマルセイエーズのイントロが流れ出した。マクロン大統領の国民への演説が始まった。1ヶ月の外出禁止令の延長、5月11日からの段階的な外出禁止の解禁が発表された…

Day 25

フランス政府から外出禁止例が出されて25日目。 この月曜日から、パリでは10時から19時の間の運動目的での外出は禁止となった。 少しずつ新しい暮らしにも慣れてきた感じがしている。この3週間ほどで、アイスを3度作り、編み物をはじめ、バーレッスンを再…

Day 19 de confinement

外出禁止が敷かれて19日目。2週間経つと少しづつ慣れてきた感じではある。 始まりは、3月12日のマクロン大統領の学校教育機関の閉鎖と全国統一市長選挙第一回投票の実施の発表だった。学校に勤務もしている私は、次の日次週からのテレワークの準備をした。…