ルーペと鳥瞰図

日記と作り話のようなもの。

story

スイスイ

自分の左後ろから声が聞こえたので見上げると、スイカが3つ入りそうな大きなお腹がその人の顔を半分くらい隠していて、その大きなお腹は突然、目の前のプールに飛び込んで、私はたくさんの水飛沫を浴びた。この国では、プールで飛び込み禁止の規則はないみ…

誰にも言えない、誰も聞いてくれない

誰にも言えないことは、 誰かに言いたくなるのに、 誰かにジャッジされるのが怖くて、 結局誰にも言えないで終わる。 誰にも相談できないし、 自分で考えをぐるぐる回して、 最後に同じところに戻ってくる。 なぜ誰にも相談できないのかというと、社会的にタ…

冷めた視線で俯瞰する

彼は何にでも冷めている。高校の同級生でとても仲が良く、ただ日々連絡を取るような間柄でもないが、ふとした日常の会話から広がる話題が豊富で日々新聞などでも読んでいない限り、出てこないような情報を引き出しから出してくるといった感じで話してくれる…

スーパー

ポテチが無性に食べたくなって、スーパーに行ってきた。暑い夏の午後で、近くのスーパーは混んでもいないし人がいないわけでもなかった。普段の買い物は、品揃えも良くて特に野菜が安いという理由で、少し遠くにあるスーパーを利用するけれど、小腹が空いた…

レールから外れる

何かになれると思っていたけど、私は私のままずっといるだけだったし、これからもそうだと思う。 一時帰国している間に会った友人は、日本で病みに病んで、それからいろんなことを経て、移住して10年が経つ。そのずっと前になるが、彼女は、鶏ガラみたいに痩…

不機嫌の椅子

「出会えてよかったね」 「よかったね」 こちらには白ワインのグラス、向こうにはビールのジョッキが残るテーブルを挟んで私たちは座っていた。4日間の旅の最終日、泊まっているホテルから40分のメトロとバスを乗り継いで、20分炎天下の中辿り着いた、保護地…

カテゴリーからの解放とその失敗

朝、ケータイのアラームで目を覚まし、そのままSNSのアプリ画面を開いて20分くらい眺めるのが癖になっている。感染症の影響で、通勤は週に一回になり移動の時間がいらなくなってから習慣になった。今朝は、SNSではなくてメッセージアプリの30件余の通知が気…